《MUMEI》

硝子越しに心配そうな二郎が立っている。


「あ、きいさんだ。」

ついでに、きいさんも。
きぃさんは二郎の手を引いて俺達と相席した。


「いやー、ダーリンに派遣されたんだけどなんなの皆して、顔強張ってるよ。
ななっちらしくない!」

ダーリン=乙矢、である。


「今、話し合い中で……その俺達の今後について。」

一番強張っている二郎が口を開く。


「あ、それより子供出来たんだっけ?おめでとー。これお祝い、少ないけど。」

きいさんは俺にのし袋を渡してくれた。


「まじすか、嬉しい〜。」

有り難く受け取る。


「なんで……」

きいさんのリズムでマネージャーの顔は色を無くしてゆく。


「お前ちょっと黙れ。」

何か言いたそうでも、きぃさんに一蹴される。
俺達は一通り律斗について談笑して、マネージャーはその様子をただただ見ているばかりだった。


「で、なんだっけ?」

きいさんは突然マネージャーに向き直る。


「あんたがなんで居るかってこと。」

次第にマネージャーは苛立ってきたようだ。


「俺はついさっき呼ばれたから。それに、俺達仲良しだもん。ね?」


「ね?」

お互い首を傾げて、
ね?で返した。


「類は友を呼ぶってか……」


「きいさんって、マネージャーと知り合い?」

今更、気付いた。

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