《MUMEI》
真実
アタシはゆっくり振り返った。

ハシゴを上って来たのは―サガミ、先生だった。

別の意味で、ノドが渇いた。

「サガミ先生…。今、何て…」

「キミは自分の血しか、受け付けないのかい?」

サガミ先生は穏やかだった。

全く動じる様子が無いのが、今は怖い。

アタシは立ち上がった。

「どうして…」

「キシくんと同じ理由だよ。キミが自分の血を飲むところを、見たんだ」

笑顔で返答してくる。

「でも僕はキシくんのような独自のルートは持っていなくてね。情報不足なんだ。だから、失敗してしまったのかな?」

そう言って肩を竦めて見せる。

…もしかしなくても、連続猟奇殺人事件の犯人は…。

「サガミ先生、あなた…だったんですか?」

「うん。僕だよ」

またあっさりと返した。

「どうして…!」

「それはボクから説明しましょうか?」

キシがハシゴを上って来た。

「キシ!」

「お待たせしました、ヒミカ。ようやく証拠を押さえられましてね」

キシは向かいのビルを見た。

「ヒミカ、アナタは少し、注意力が不足気味だったようですね」

「それは…!」

否定のしようが無い。無かった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫