《MUMEI》

そしてサガミ先生の死体は…残さずアタシが食べた。

肉の一欠けらも残さずに。

キシはアタシのことになると、勘が血族並みに鋭くなる。

だからこんなことを言い出したんだろう。

キシの白い首筋が、眼に映った途端、思わずノドが鳴った。

この薄い皮膚の下の、あの味と匂いが、アタシの血族としての顔を出させてしまうのだ。

しかしキシが笑った。

「どうしたの?」

「まだボクが死ぬまで、ガマンしててくださいよ? 寿命はまっとうしますから」

顔を見ずとも、気配で考えが分かったらしい。

…やれやれ、いつまで狂気を押さえられるやら。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫