《MUMEI》

「ねぇ、結婚式はやっぱり教会が良いな」

「お前、ウエディングドレスに憧れてたもんな」

「うん! やっぱり女の子の夢でしょ?」

そう言って、ぎゅっと抱きついた。

「アンタもちゃんとタキシード、着てよね?」

「教会なら、当然。あっ、でも…」

ふと何かに引っ掛かったのか、アイツの表情が曇る。

「どうかした? やっぱり和式が良いとか?」

白無垢でもまあ…。

コイツが着物が良いと言うなら、そのくらいは良いケド…。

しばらくうなった後、わたしの目を真っ直ぐに見てきた。

「お前、ちょっとウソになるな」

「何がよ?」

「例の歩く道、ウソになるだろ?」

歩く道? 教会で…歩く道と言えば……。

思い当たったわたしは、左の拳を握り締めた。

「責任取れ! この大ばかっ!」

バキッ!

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