《MUMEI》
同じ性質
「何で…?」


何で、エアーが吐き出した、空気が


…こんなに、綺麗なの?


人間が吐き出すのは、二酸化炭素。


取り込むのは、酸素。


…の、はず、なのに


しかも、この、空気は…


微かに部屋に漂う、朝と違う、綺麗な、新鮮な空気。


昼間の、オゾンの部屋で感じた空気に似た、空気。


オゾンの部屋の空気の原因は、あの、不思議な性質の植物。


…いや


植物なら、新鮮な酸素を作るのは、ある意味普通だ。


違うのは、その主な材料が、人の吐き出す二酸化炭素という事だけだ。


「…どうした?」

「クーちゃんの様子が」

「やっぱりキムチが…」

「多分それは無いでしょ」

アルゴンの言葉に、ネオンがため息をつく。


ネオンの言葉が聞こえていないアルゴンも、ため息をつく。


「…」


二人分のため息を吸い込むように、エアーは、クーの側を離れた。


そんな、エアーをクーは見つめていた。


やっぱり、何回見ても…同じなんだよな


あの、オゾンの部屋の植物より、遥かに少ないけれど


エアーの小さな唇からは、綺麗な空気が吐き出されていた。

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