《MUMEI》

「ふっふーん。でもミナはやってないわよね? 私達大学受験を控えてるんだし、そんなのやってるヒマ無いしね」

「やってないよぉ。でもおもしろそうだよね〜」

「やっちゃダメっ!」

私は思わずミナの肩を掴んだ。

「絶対にやっちゃダメ! 近付いてもダメっ! 近くに来たと思ったら、すぐに逃げなさい!」

「うっうん、分かった…」

ミナは目をまん丸にしながらも、頷いた。

私は深く息を吐き、制服のスカートのポケットに入れたケータイに触れた。

…厄介なモノを押し付けられてしまったな。


私はミナと別れた後、従兄のソウマの店に向かった。

普通ではない雑貨屋を営むソウマの店は、いつ来ても客がいない。

なので堂々と店内で話ができる。

「―コレはまた」

私が開いて見せたケータイを見て、ソウマは呆気に取られた。

『…何、アンタ』

男はむつくれた顔で、ソウマを睨んでいる。

「ああ…。でも何となく仕組みは分かりますね」

「分かるんだが、どうすれば良いのかが分からない」

私はズキズキ痛む頭を抱えた。

「犯人はお昼休みの女の子で間違い無いんですか?」

「多分な。昼までケータイを見ていたが、そんなのは無かった」

「マカに譲った…と言うよりは、まさに押し付けたんでしょうね」

そう言ってアイスハイビスカスティーを淹れてくれた。

私はテーブルセットのイスに座り、一気に半分ほど飲み、息を吐く。

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