《MUMEI》

「ソウマ、悪いがコイツのこと、調べといてくれないか? ミナの耳に入るぐらいだ。かなりの話題になっているだろうからな」

「分かりました。しかし良いアイディアですねぇ。波長さえ合えば、簡単に真似できそうです」

「変なところで商売魂燃やすな! コピー商品なんてやらかすなよ!」

「分かっていますよ、冗談です」

私はケータイを閉じ、テーブルに置いた。

「…何だか厄介なことになっている気がする。早急に頼むな」

「心得ていますよ。でもマカ、何なら押し付けてきた彼女に聞いてみたらどうですか?」

「明日、捕まえてみる。しかし…何だって私を選んだんだ? それともたまたまか?」

「一般の子なら偶然でしょうね。―裏が無ければ」

「チッ…」

舌打ちせずにはいられない。

「まあとりあえず、彼のこと少しは構ってやったらどうです? ちょっとは気晴らしになるんじゃないですか?」

「…お前、コイツを見たろ? こんなチャラ男、見ているだけでストレスが溜まる」

薄茶色の髪はアゴまで伸びていて、ピアスをいくつも付けていた。

見た目20そこそこ。しかし笑顔を見ると、童顔に見える。

軽い口調と、バカっぽいしゃべり方。

チャラ男と称されるに相応しい男。

「ミナが『理想の彼氏』と言っていたが、あの女はこんなのが好みだったのか」

趣味が悪すぎる、と顔に出してみせる。

「アハハ。最近の流行りみたいなものですかね」

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