《MUMEI》

『きっキミの名前ってマカって言うの?』

「ああ、そうだ」

『いっ良い名前だね』

「そりゃどうも」

両親の名前の頭文字を合わせただけの、言わば語呂合わせのような名前だが。

『………』

「じゃあな」

『わああ! もうちょっと話そうよ!』

男は涙目で訴えかけてくる。

「何だ? 私は腹が減っているんだ」

『ちょっとだけでも良いから、話そうよ。オレ、寂し過ぎるよ』

「知ったことか」

そう言うと、再びゲージと数値が下がる。

「あっ、もう10だ」

確か最初見た時は50だった。

『わっ! 早! 上がるのが早い場合はあるけど、下がりでここまで早い人はいないよ!』

「何事にも始まりはある」

『上手いこと言ってる場合じゃないって! …ピンチなの、分かってる?』

挑発的なその目に、カチーンッ★ときた。

「ほお…。何だかおもしろそうなことになりそうだな」

『まあ人によっては、だけどね』

「ふぅん。だが一つだけ、お前に警告してやろう」

『なに?』

私は起き上がり、真っ直ぐに男と向かい合った。

「生憎と私は普通の人間ではない」

『…えっ?』

男がマヌケ面になった。

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