《MUMEI》 「楽しそうだけど、準備が出来たわよ」 レイラがニコニコ顔で言ってきたので、私は容赦なくケータイを閉じた。 「今、行く」 テーブルには私一人分の料理が並んでいる。 ビーフシチューにパン、フルーツサラダ。そしてミートローフは私の好物だ。 「飲み物は?」 「紅茶にしてくれ」 言ってすぐ、紅茶のカップが置かれた。 「いただきます」 私は手を合わせ、ガツガツと食べ始める。 「うん、美味い!」 「ありがと♪ でもさぁ、アレだったらアタシ達、泊まろうかぁ?」 「うん? 何でだ? モモ」 「だってぇ、ケータイ越しとは言え、男とマーちゃんを二人っきりにすると、当主から怒られそうなんだもん」 …一理あるな。 「そうだな、そうしてくれ」 「かしこまりました」 カエデが電話をしに、退室した。 次期当主ということで、異性関係にウルサイのだ。 「でもどうするの? 飼い続けるの?」 レイラがミートローフを切り分けながら聞いてきたので、少し考えた。 「ふむ…。まあ少しぐらいなら相手しても良いが…。何分、作ったのが他の女だからな」 「自分の彼氏を押し付けてきたようなモンだもんねぇ。タチ悪っ!」 モモが心底イヤそうに言ったので、私は苦笑した。 「押し付けてきたのも、理由があってのことなんだろう。明日、聞いてみるさ」 そう言いつつ食事を進める。 前へ |次へ |
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