《MUMEI》 「マカ様、当主からの許可がおりました。本日とは言わず、しばらく住み込みになりますので」 「ぶっ! …まあ良いが」 過保護にも程があるな。 「あと当主からの伝言がございます」 ふとカエデは真面目な顔になった。 「『今回の件はウチの血縁は関係無い』とのことです」 「…他の人間の仕業だと言うのか?」 「そこまでは分かりませんが…。とにかく、この件に関して我が血族は絡んでいないということですね」 何だ、てっきり絡んでいるものだと思ってた。 コレと似たような手口を知っているからな。 「しかし…普通の人間に出来る芸当か?」 「ありえなくはないわよ。人間にもいろいろいるもの」 レイラの言うことにも一理ある。 その後、ケータイは開かず、充電した。 3人はずっと一緒にいて、見張りのような役目をしていたからだ。 本当はいろいろ聞いてみたかったんだが…。 だが翌朝、事態は急変する。 「えっ? 休み?」 「うん…。何か体調悪いんだって」 私に男を押し付けてきた女の子の教室を、朝一に訪ねると、知り合いにそう言われた。 「まいったな…」 まっ、考えていないことではなかった。 予想はしていた。私から逃げるだろうことを。 「…ねぇ、もしかして携帯彼氏、押し付けられた?」 知り合いが上目遣いに、不安そうに聞いてきた。 「よく分かったわね」 そう言ってケータイを開いて見せると、知り合いは短い悲鳴を上げた。 前へ |次へ |
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