《MUMEI》

そしてミナのケータイを返してきた。

開けて確認すると、桜の写メの待ち受けに戻っていた。

「すまんな」

「でも何でわたしなの?」

「ヒミカには最近、婚約者が出来ただろ?」

「ああ…」

私とルカはそろってヒミカを見た。

すると複雑そうな顔をする。

「…好き好んで出来たワケじゃないわよ」

「でも嫉妬深いんだろ? ケータイを真っ二つにされるぞ?」

「うっ…」

思い当たるフシがあるのか、青い顔でヒミカは黙った。

「でもよぉ、どーすんだよ、マカ。いくらウチの血縁者とは言え、本当に無事で済むか分からないだろ?」

シヅキは資料に目を向けている。

そこには携帯彼氏が関連しただろう、事件の報告書が書かれてある。

「まっ、一種の地縛霊だからな。物に憑くならまた別なんだが、コレはまた別件だからな」

「ややこしいな」

「ああ、だから厄介なんだ」

「それで? ボク等がすることは?」

セツカは楽しそうに聞いてくる。

状況を面白がってやがる。

「シヅキとセツカは独自で調査してほしい。ヒミカは婚約者のキシと一緒に」

「キシと? いいの? 巻き込んでも」

「今回はウチの血縁者は関わり無いからな。調査する内容は、コイツ等の仕組み。それさえ分かれば、解放される」

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