《MUMEI》 余計な事件を抱え込むつもりはない。 私はケータイを握り締め、立ち上がった。 「調査ご苦労。礼は後で支払う」 「終わり次第で構いませんよ。これからいろいろと忙しくなるでしょう?」 「スマンな」 私はソウマに軽く手を上げ、店を出た。 するとケータイが鳴った。 「はい?」 『あっあの、マカ』 ハズミだった。 「何だ?」 『オレのこと…消すつもり?』 ケータイは会議中、ずっと開きっぱなしだった。 つまり、ハズミには会話を聞かれていた…と言うか、聞かせていた。 …この手のものは、まず自分を自覚させることが大切だったから。 わざと話を聞かせていた。 「…いや、正確には成仏の仕方を探している。残念だが私は一緒には逝ってやれない」 『そっか…』 ラブゲージが100になれば、携帯彼氏と同じ死に方をする。 彼等はすでにこの世にいない存在。 しかし未練があり、この世に存在し続けた。 そのことをある意味利用され、こんな形で存在し続けている。 ラブゲージがゼロになれば、それも死に繋がる。 どちらにせよ、良いことは無い。 前へ |次へ |
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