《MUMEI》 「安心しろ。お前が荒事を起こさない限り、私達も手荒なことはしない」 『うん…』 「お前だっていつまでもココにいてもしょうがないだろう? とっとと輪廻を巡るべきだ」 『うん、そうだね』 しかし返ってくる声は落ち込んでいる様子。 私は歩道橋の階段を上りながら、考えた。 人を慰める言葉なんて、ミナ以外に言ったことがないからな。 「それにな…」 なおも言おうとして、目の前の光景に言葉を失った。 歩道橋の下は交通量が多い道路。 そこへ落ちようとしている女子高校生がいる。 しかも彼女の姿にブレて、異形のものが見える。 ギリギリ人の形を留めた肉の塊が、彼女を落とそうとしているように見える。 その彼女の手には、ケータイが…。 「…おい、ハズミ。あの子はまさか」 そこまで言って、私は自分のケータイを彼女へ向けた。 『ヤバッ…! マカ、あの子ラブゲージ100の状態になってる!』 「くっ!」 咄嗟にカバンを放り出し、ケータイを握り締めたまま走り出した。 しかし彼女に近付くにつれ、霧のようなものが見えてきた。 しかも…体が重くなっていく。 「おい…。コレは…」 前へ |次へ |
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