《MUMEI》

忌々しそうに私を睨んでくる。

「黙れ」

だが私も負けない。

彼女を抱き締めたまま、男を睨み返した。

「私の眼の届くところで、余計な事件を起こすな。己が死を受け入れられぬ半端者がっ!」

ぐっ、とケータイに気を入れる。

バチバチッ!

握っているケータイから電気が放たれる。

『うあっ!』

「道連れがいなければ成仏も出来ないか? そういう存在こそ、私を一番苛立たせる! とっとと消えろ!」

バチンッ!

最後に強烈な電気を放ち、ケータイの画面は黒く染まった。

黒い画面に映るのは、私の赤い両目。

「ふぅ…」

…いささか気を使い過ぎた。

まさかこの子から、気を奪うワケにもいかないしな。

『マカ! 大丈夫?』

ハズミが声をかけてきたので、私は自分のケータイを見た。

「…何とかな」

『アレ? キミの両目…赤い?』

「ああ、ウチの血族は力を使うとこうなる…。私は万物の気を使うからな」

一時、私のことが都市伝説になったこともあったっけ。

そんなことを思いながら、ハズミの心配そうな顔を見る。

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