《MUMEI》 ハズミは私から視線を外し、けれど口を動かした。 『マカは自分を普通の人間じゃないって言ってたけど…本当だったんだね』 「ああ。私の血縁者はみな、普通の人間とは言いにくい。姿・形は人間そのものだが、中身は全く違う」 『違うって、どう違うの?』 「詳しくは私も分からん。しかし、普通の人間が持たないような力を持つ。メイドの3人、店で会った5人、他にも私と血縁関係を持つものは、必ず妙な力を持っているものだ」 『マカは気を操るって言ってたけど…』 「ああ、そうだ。万物には気が宿っている。それを操るのが私の力だ。まあ…あまり上手くは使えないがな」 『ふぅん…。でもその力があれば、オレ達を消すことができるんだね』 「…気の質の変化が出来るからな。不可能ではないことを、今日証明したようなものだ」 ハズミの顔色が見る見る悪くなる。 ラブゲージも下がっていく。 「…まあさっきも言ったが、お前から何かしないなら私も動きはしない」 『そう…』 それでもまだ、下がり続ける。 …思えばコイツも不憫だ。 宿ったケータイの持ち主が、私じゃな。 「あっああ、そうだ。ハズミ、ゲームしないか?」 『ゲーム?』 私はテーブルにノートパソコンを置いて、起動させる。 「カードゲームなら、一緒にやれるだろう。神経衰弱はどうだ?」 『でも一人用だろ?』 ケータイ画面をパソコンに向けてやる。 前へ |次へ |
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