《MUMEI》 「どーせヒミカからは嫌味しか聞いていないだろ?」 「それはボクのことも、でしょう?」 「お前ら…! アタシのことを何だと思ってる!」 「天邪鬼」 「もちろん、ボクの最愛の人ですよ」 「んがー!」 「騒ぐな、周りに迷惑だ」 悶絶しているヒミカを横目に、私はコーヒーを飲んだ。 「う〜。目がチカチカするな」 眉間を揉むも、あんまり効果はない。 「徹夜でゲームするもんじゃないな」 「何のゲームをしてたんです?」 「パソコンゲームの神経衰弱。コイツと一緒に」 そう言ってテーブルに置いていた自分のケータイを指さす。 ちなみに今はたたんでいるので、ハズミの姿は見えない。 「おや、そんなことまで出来るんですか?」 「テレビ電話みたいなもんだからな」 「…今はパソコンででも出来ますよ?」 「ああ、そうなのか」 パソコンは機械さえあれば、何だって出来るんだな。 「でも楽しそうで。案外、このままでも良いと思われているのでは?」 「さてな」 こめかみを指で押さえながら、私は答えを濁した。 キシの意見を、すぐには否定出来なかった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |