《MUMEI》 好きになることの災難『そう言えばさぁ』 キシとヒミカと別れた後、ハズミが電話をかけてきた。 「何だ?」 『もうすぐ、ミナってコの誕生日なんだろう? プレゼント、買った?』 「あっ」 …忘れてた。 「なっ何でハズミが知ってる?」 『ケータイのスケジュールに入力してたじゃん』 ああ、そうだった…。 「いかん、買ってなかった」 『じゃ、買いに行った方が良いんじゃない? もう明日だよ』 「だあっ! そういうことはもっと早く言えっ!」 私は電話を繋げたまま、駅前に向かった。 そこで小物屋に入る。 「あら、マカさま。いらっしゃいませ」 「お嬢様、いらっしゃい」 「ああ。私に構わず、仕事を続けてくれ」 表通りに面する2階建ての小物屋は、ミナの好きそうな可愛いデザインが売りだ。 しかも私の血縁の者が経営している。 ソウマのところとは違い、ちゃんとしたショップだ。 私は人気の少ない2階に上がった。 「昨年はパワーストーンのネックレス、一昨年はラインストーン付きのコンパクト。今年は何にするかな?」 『結構可愛いの選んでるんだね』 「ミナが好きなんだ、そういうの」 前へ |次へ |
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