《MUMEI》 『マカ、店員の人呼んだら?』 「それもそうだな」 私は振り返り、二階にいる店員に取って貰った。 「コレだろ?」 『うん、そうそう! 良いと思わない』 ヘアピンは2個セット。 水色の花はラインストーンで出来ていて、花の下に青のビーズがつながっている。 ちょっとかんざしに似ているな。 「うん、良いな。コレにする」 そう言って店員に渡す。 「プレゼント用だ」 「かしこまりました」 店員に可愛くラッピングしてもらい、私は会計を済ませた。 そして店を出て、お昼近くになっていることに気付いた。 人が多くなってきている。 「さて、どうせなら菓子の一つでも作ってやるか」 『マカ、お菓子作りするの!?』 「…良い反応だな、ハズミ」 私はにやっと口だけ笑い、ハズミを睨んだ。 『ちっちがっ…! ホラ、マカって人に命令してやらせてる場面が多いからさ』 ハズミはあたふたと手と首を振りながら、必死に言った。 「まあな。でも自分で料理や菓子ぐらい作る。こったものではないにしろ、一般的なものはな」 『じっじゃあクッキーとか?』 「それでも良いが…ミナはゼリーが好きなんだ。ケーキは毎年、ミナの母親が手作りで作っているし、少し豪華なゼリーで良いだろう」 『ゼリーか。良いなぁ。オレもマカの作ったの、食べてみたかった』 前へ |次へ |
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