《MUMEI》

少し悲しそうな顔で言っているのは、自分の状態が分かっている証拠だ。

「…そうなったのは自業自得だろう? 次に生まれ変わる時まで、私は生きているからな。運良く記憶が残っていれば、会いに来い」

『うん!』

お菓子の材料を買いに、店へ向かおうとした時。

『でも…さ』

「うん?」

『さっきのお店の時とかさ…。やっぱり現実でマカと一緒にいたかったな。そうすれば…』

…そこでハズミの言葉が切れたので、私も何も言わなかった。

私はそのままゼリーの材料を買って、家に帰った。

「ただいまぁ」

「おかえり、マカ」

「どこに行ってたんだ?」

「んっ? セツカにシヅキ。どうした?」

リビングには二人がいて、三人のメイドがいなかった。

「三人はちょっと用があって出てるよ。ボク等は代役」

「それに分かったことがあったからな」

シヅキがフロッピーディスクを手にした。

「早いな」

私はテーブルに材料を置き、ソファーに座った。

「シヅキに急かされてね。マカやルカが心配だって」

「万が一のことがあったらどーする?」

「昨日からコレばっかだよ。おかげでボク、徹夜なんだけど」

確かにセツカの目は赤かった。

こういう機械関係は、セツカの方が強いからな。

「まっ、何はともあれご苦労。礼を言う」

そう言ってシヅキからフロッピーを受け取った。

「ヒミカからは?」

「お前達より先に呼び出され、もう受け取った」

カバンから茶封筒を取り出し、シヅキに見せた。

「早いな」

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