《MUMEI》 「お〜い、一体何なんだよ」 「まあ、な…。解決法の一つとして、試してみたいことがある」 「にしても、驚いたね」 「うん?」 セツカはにんまり笑った。 「マカがそんなこと言い出すなんて。前のキミなら、ためらい無く消していただろうに」 「消すには力を消耗する。…何だ? お前の力を分けてくれるのか?」 そう言って手を伸ばすと、セツカは慌ててシヅキの背後に隠れた。 「ごっゴメン! 悪ふざけ過ぎた」 「反省しているなら良し。それを結果として出してくれるのなら、なお良し」 「分かったよ。行こ、シヅキ。キミにも手伝ってもらいたい」 「あっああ。じゃあな、マカ」 二人は出て行った。 私は深く息を吐いて、ソファーに深く腰かけた。 そしてケータイを見る。 …コレは賭け。 私の願いはこの世に受け入れられるかどうか。 それとも彼等の存在こそが受け入れられてしまうか。 出来れば勝ちたい。 心残りを残して、死んでしまったものを、私はよく知っていたから…。 出来れば何とかしてやりたかった。 前へ |次へ |
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