《MUMEI》 『そっそうだよね』 「何だ? シヅキが普通の人間に見えたか?」 『…少なくとも、キミよりは』 「言ってくれるじゃないか。まあ否定はせんがな」 私は欠伸を一つして、目を閉じた。 「シヅキは父親の代から、この表の世に住んでいる。生まれも育ちもこっちの世界だ。そのせいか、考え方が普通の人間寄りだな。血筋で言えば、本家よりだが…」 『…そうなんだ』 ハズミの僅かに沈んだ声に、薄目を開いた。 「何だ? シヅキのことが気になるのか?」 『う〜ん。…昔、似たようなタイプの人が側にいたからね』 「ほお」 『ちょっと懐かしくなっただけだよ』 そう言ってハズミは黙った。 なので私は眠りについた。 前へ |次へ |
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