《MUMEI》 最後の災難―そして休日。 私はケータイと花束を持って、バスに乗っていた。 昨夜、セツカから連絡が入った。 どうやら私の願いは叶いそうだ。 ぼんやり流れる景色を見る。 私の住んでいる場所から電車とバスを乗り継いだ所が、目的地だった。 やがて目的地にバスは到着した。 降りてすぐ、海の香りがした。 …海が目の前だ。 少し歩くと、目的の場所―墓地に到着した。 するとケータイが鳴った。 『マカ…ここって』 「ああ、お前の肉体が眠っている所だ」 ハズミ自身のことは、ソウマに調べさせていた。 だから迷わず、ハズミの墓へ向かえる。 だがそこには先客がいた。 私はケータイを切り、バッグにしまった。 先客はどことなくシヅキに似た…こちらの方が真面目そうな青少年。 彼は私に気付くと、頭を下げてきた。 「あなたは羽澄の…」 「生前、友人だった者です」 それだけ言って、墓に花束を置いた。 そして手を合わせる。 「…失礼ですけど、羽澄の彼女ではなかったんですか?」 「違いますよ」 私は女子高校生風を装った。 前へ |次へ |
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