《MUMEI》

「本当に友人だっただけです。ところであなたは?」

「あっああ、失礼しました」

彼は律儀にも頭を下げた。

「羽澄の兄…と言っても腹違いですけど、澄夜と言います。今は中学校の教師をしています」

「―そうですか。私はマカと言います」

私も頭を下げた。

「あのっ、羽澄のことに関して、何か知りませんか?」

澄夜は青い顔で、必死だった。

「一年前…羽澄はいきなり自殺をしました。睡眠薬を大量に摂取して…。理由は未だに分かっていないんです。どうしてあんなことを…」

そう言って顔を手で覆ってしまった。

「…羽澄さんは自殺だったんですね?」

「…ええ。しかし理由が全く分からないのです」

「一年経った今でも…。いえ、彼の生い立ちを考えれば、少しは思い当たるのですけど…」

…ハズミの生い立ち。

彼は愛人の子供だった。

社会的地位のある男性が、水商売の女性との間に作った子供がハズミ。

しかし女性は病気により、ハズミが5歳の時に死亡。

ハズミは父の家に引き取られたが、本妻との仲は悪く、また本妻の子供達とも仲が良くなったと言う。

―澄夜以外とは。

しかし彼は暗い家庭の事情を感じさせないほど明るく振る舞い、大学生活も充実して過ごしていた。

…はずだった。

だがハズミは自殺した。

ある日の朝、ベッドで冷たくなっているのを、澄夜が発見したらしい。

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