《MUMEI》 「どうだ? 実感できるだろ?」 「できるできるっ!」 涙目になったので、離してやる。 「う〜。マカってケータイにいる時から、変わらぬ接し方だよね」 「それが私だ。…良い悪友だろ?」 そう言ってやると、羽澄は軽く笑った。 「うん! オレの悪友だよ、マカは」 …もう一つの選択。 それは我が血族の一部となること。 まあいろいろなところは秘密なのでカットするが、ようは我が血族に仕えることを条件に、この世に肉体を再び持つことを許すという内容だ。 普通の人間として、最期を迎えるか。 人成らざる者として、よみがえるか。 そしてハズミとマミヤは選んだ。 私達と共にあることを。 「でもさ」 ふと羽澄が声を潜め、近寄ってきた。 「真宮とルカ、何か良いカンジじゃない?」 二人は再会を心から喜んでいた。 …ルカめ。一週間前、ケータイを預けた時は平然を装っていたな? 「やっぱ恋って良〜よね。オレもまた、恋をしよっかな」 …よみがえる条件の一つとして、生前の者には会わないというものがある。 それはつまり、ハズミは義兄を………いや、羽澄はもう死んだんだ。 もう二度と、現れてはいけない。 それを分かっているから、ハズミもこう言っているのだ。 前へ |次へ |
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