《MUMEI》 病弱なキス「ヤダぁ! 学校行くぅ〜!」 「ガマンしろ。お前、熱あるじゃないか」 布団の上で、ジタバタ暴れる。 「今日って遠足じゃない! 楽しみにしてたんだからぁ!」 「だからムリだってば。行ったとしても、みんなに迷惑かけるだけだぞ?」 「うっ…!」 ぴたっと動きを止めると、そのまま布団に寝かしつけられる。 「今日は一日寝ていろ」 「だって…」 「陶芸教室と遊園地なら、体調が回復したら連れてってやるから」 そう言ってわたしの頭を撫でる優しく大きな手。 「…みんなと一緒じゃなきゃ…今日じゃなきゃ意味無いのに…」 そのまま眼を覆い隠され、わたしは涙を流しながら眼を閉じた。 …幼稚園の時からいっつもこうだ。 生まれ付き、病弱体質の為、まともに学校にも行けない。 それは小・中・高校に上がった今でも同じで…。 せっかく私服で行けるってことで、新しい服も買ったのにぃ…。 「いいから寝てろ」 わたしは幼馴染の彼の腕を掴んだ。 「…行って良いわよ」 彼は父さんの秘書の息子。 同じ歳のせいで、小さい頃からずっとわたしの面倒を見てくれている。 次へ |
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