《MUMEI》

『夢視様〜早く早く
!』

庭を駆け回る仔犬の
様な白に夢視は目を
細めた。

オリーブグリーンの
髪は、陽射しに当り
生き生きと輝いて風
に靡いている。

まるで、身体全体で
光を吸収し光合成し
ている様は、やはり
白は植物なのだと思
い知らされる。

それに引き換え、と
夢視は自分の姿を思
うと、沈んでしまう

部屋に殆ど隠りきり
のこの身体は、蒼白
く、少しの陽射しに
も目眩を起こす。

何よりも…あの行為
により、出来た印が
明るい場所を拒む様
に、夢視を苦しめる


『夢視様?』

気が付けば、心配そ
うな白の顔が直ぐ傍
にあった。

『大丈夫ですか?』

そう言った白の手が
私の頬に触れる。

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