《MUMEI》
天使か悪魔か、それとも鬼か
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愕然と、廉の背中を見つめていたら、

急に、彼は思い出したように振り返った。


「でもさぁ、そこの彼も度胸あるよねー」


急に声をかけられて、清水君はビックリしたようだった。


「ど、度胸って…?」


戸惑う彼に、廉はニヤリと笑う。


「高校3年の大事な時期に、こんなところでこんなふうに、オンナ襲ってさー。今の俺みたいに、誰かに見られたらどーすんの?犯罪でしょ、コレ?」


将来めちゃくちゃじゃん、と飄々と言う。

廉の落ち着いた物言いに清水君は少し怯んだが、すぐ表情を険しくして廉を睨む。


「う、うるせー!!お前は関係ねぇだろッ!?」


引っ込んでろッ!!と、喧しく叫んだ清水君に、廉はバカにしたように肩をすくめた。


「言われなくても俺はもう帰るけど、でもさ…」


廉は意味ありげに、フッと唇に笑みをこぼす。
それは、今まで見たことないような美しい顔だった。


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