《MUMEI》

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蒼白の清水君にまっすぐ目を向けて、廉は微かに首を傾ける。


「…どうすんの?ヤるの?ヤらないの?俺は関係ないし、どっちでもいいけど」


尋ねた廉に、清水君はなにも答えず、わたしの両腕を抑えていた手を離して、バタバタと走り去っていった。

走り去る清水君の足音を聞きながら、廉はつまらなそうな顔をして、あーぁ…とため息をつく。


「…根性ねーなぁ」


ブツブツ文句を言いながら、教室を出て行こうとした廉の背中に、わたしは我に返り、身体を起こすと、


「ま、待って!」


大声で呼び止めた。

廉はゆっくり振り返り、欝陶しそうに眉間にシワを寄せる。


「なんだよ?」


うるさそうに聞き返した彼に、わたしははだけたブラウスを抑えながら、一生懸命言葉を探して続ける。


「ありがと、助かった…」


話の流れとしては、多少なり疑問が残ることもあったが、結果として、廉に救われたような格好になったので、わたしは素直にお礼をのべた。

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