《MUMEI》

バイキンマンは、そのヒップを揺らしながら歩く後ろ姿を見送りながら――…



バイ菌「 チッ …。」



長年行動を共にしながら、未だその心を我が物にできない苛立ちに、見苦しく舌を打つ…。



そして苛立ちを紛らわすように煙草をくわえ、火を着けたとき…。



かび1「ボス、船荷を積み終りました。かびー。」



かび2「そろそろ出航します。かびー。」



手下が船上から報告した。



バイ菌「あぁ…。分かった。


…いま行く…。」



バイキンマンは火を着けたばかりの煙草を海に投げ捨て、大型の底引き網漁船に乗り込んだ。

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