《MUMEI》
グリーン博士
「それは…」


無理じゃろう…


オゾンの体を知るライトは、思わず顔をしかめた。


この、限られた空間ならまだしも、外でオゾンが走り回るなど、不可能だった。


何故なら


「酸素ボンベ用のマスク・それに、チューブはどうするんじゃね?」


昔より軽く、小さくなった酸素ボンベは、最悪ポケットにしまえる。


しかし、そこから伸びるチューブや、鼻と口を覆うマスクは、いくら軽量化しても、必要不可欠な存在だ。


そんな物をつけて、走り回るなど、オゾンにはできない


それが、ライトの、いや、一般常識的な判断だった。


何度か外出しているオゾンはそれを理解しているはずなのに…


「それを無くす為に、私がいるのですよ」


首を捻るライトの背後で、声が聞こえた。


「お前さんは、植物を育てる為に呼ばれたんじゃろう?」


ライトが言うように、その男


グリーン博士の専門は、植物博士であり


特に、遺伝子操作を得意としていた。


オゾンの部屋にある、クーが興味を示したあの不思議な植物も、グリーン博士が作った新種だった。

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