《MUMEI》
グリーン博士の目的
「違いますよ。私はオゾン様が自由に外で動けるように、日々研究を重ねているのです」


グリーン博士は、にこやかに微笑んだが、その笑顔を、ライトは好きになれなかった。


白衣に身を包み、メガネをかけたいかにも博士な、この細身の男は、確かにそれなりの功績がある。


しかし


ライトは、グリーン博士を不気味だと感じていた。


それは、グリーン博士の研究室が地下にあり、博士と僅かな助手と社長以外、立ち入り禁止だから…


そう考えた時、ライトはふと感じた疑問を口にした。


「最近、お前さんの助手達が、珍しく出かけとるようじゃが…」

「そんな事はあなたに関係無いでしょう?

役立たずのあなたは、ただオゾン様が今より体調を崩さないようにすればいい」

「は、博士」

「お優しいオゾン様。私は事実を述べたまでです。

では、失礼致します」


グリーン博士は足早にオゾンの部屋を後にした。


「ドクター…」

「気にしとらんよ」


実際、ライトはグリーン博士の嫌味など全く気にしていなかった。


それよりも気になったのは、グリーン博士が一瞬見せた焦った表情だった。

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