《MUMEI》 お見合いのキス「まったく…。親がどうしてもと言うから、来てみたら…」 男は私を真っ直ぐに見た。 「相手が女子高校生だなんて…。アイツら、俺を犯罪者にするつもりか?」 それはある意味、同感…。 振り返ること十日前。 実業家として名高い父と、旧財閥の一人娘である母との間に、長女として生まれた私に見合い話が持ち上がった。 ウチは代々見合いの家系。だから私も抵抗無く来てみたら…。 相手は世界に会社をいくつも持つ企業の長男。 優秀な人で、自分でも会社を作ったり、経営したりしている。 見た目もカッコ良い…と言うより、キレイな人だ。 だけど………私は今、17歳。 彼は…………35歳。 歳の差、18歳。 …ありえなくない? 見合い写真を見せられたけど、30歳ぐらいにしか見えなかった。 プロフィールとかは、あんまり気にしなかったから見なかった……それが間違いだった。 着物の裾を握る。朝早くから、母が着付けてくれた。 お気に入りの赤の生地の着物、でも…心が浮かない。 彼はスーツを着ていて、タバコを吸い出した。 今はもう、部屋に二人だけ。 私の好きな料亭を貸し切って、見合いをセッティングしてくれたのは嬉しいけど…絶対失敗だ。 相手は私を一目見るなり、いや〜な顔をした。 そして仲介人から歳を聞いて、思いっきり顔をしかめた。 …どうやら彼も写真だけを見て、プロフィールを見なかったらしい。 ある意味、似た者同士かもしれないけど…18の差は大きい。 次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |