《MUMEI》

せめて10歳だろう。

それとも相手が年下好みだからって、私が選ばれたのだろうか?

でも彼だってきっと10歳ぐらいが…。

「おい」

「はっはい!」

「タバコ、苦手なのか?」

「えっ?」

彼は黙って私を顎でさす。

私は右手を袖で隠し、口元を覆っていた。

「あっ、いえっ!」

無意識の行動だった!

タバコは父も吸うが、いつも離れて吸ってたから…。

彼は不機嫌そうにため息を吐いて、立ち上がった。

そして障子戸を開けて、そこでタバコを吸う。

…決定的、かな?

まっ、成功してもあまり良いことない。

上手くいけば、私は高校を卒業してすぐ結婚。自由なんて…無くなる。

ホントはもっと勉強して、私自身が働きたいのに…。

「なあ」

「はっはい!」

「お前、結婚する気、あるの?」

「えっ? あっあります! 無ければ来ません!」

コレは…半分ウソ。

生まれてこの方、家の為に結婚するのだと教え込まれ、抵抗があまり無かったのも事実。

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