《MUMEI》

けれどわたしは相変わらずの態度。

「イジメなんて今時どこにでもあるし、誰が首謀者かなんて知らないのは悪いことでもないんじゃない?」

担任や親でさえ知らないことを、クラスメートだからって知っていて当然ということはない。

「言うねぇ。…じゃ、気付いたんだ? 首謀者が誰か?」

「アナタじゃない」

わたしは彼の眼を真っ直ぐに見て言った。

彼もわたしの眼を見る。

「本当に面白いぐらいに動じないね。僕のこと、怖くないの?」

「アナタを怖がって、わたしに一体何の得があるの?
あるんだったら、教えてほしいわ」

「う〜ん…。イジメの標的になるとか?」

「なったとしても、転校すればいいだけの話じゃない」

「―なるほど。1番早い解決方法だ」

彼はすぐに納得した。

頭の良い人だ。さすが成績順位トップキープ者。

「えっと…。キミのこと、ルナって呼んでもいい?」

「構わないわよ? みんなそう呼んでるし」

「ありがとう。僕のことはアオイって名前を呼び捨てで良いよ」

いつも彼のことは委員長と呼んでいた。

クラスメートもそう呼ぶから。

「そう? 何だか親しくなった気がして嬉しいわ」

「うん、僕もだよ。ルナのこと、気に入った」

その後、他愛の無い話をして、帰り道を歩いた。

そして分かれ道。

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