《MUMEI》

「やれやれ。楽しい時間っていうのは、早く過ぎるものだね」

「そうね。でもまた明日、学校で会えるじゃない?」

「そうだね」

「うん。それじゃ、また…」

さよならの手を振ろうとした時、その手を掴まれた。

そして…キス、された。

冷たくて、とろけるような甘いキスを…。

触れて十秒後。

彼はゆっくりと離れた。

「…また、明日」

「えっええ…」

彼はにっこり笑って、わたしとは反対方向に歩いていく。

その姿が見えなくなるまで、わたしは見つめ続けていた。

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