《MUMEI》
殿下
僕に笑い掛けた、そ
の笑顔が儚げで…瞬
きする間に消え失せ
るんじゃないかと思
えた。


『…っ、夢視様!』

思わず、その細い身
体を抱き締める。


『…白?!な、何』

驚いて、僕を見る青
い瞳が吸い込まれる
様に綺麗で…。


『やあ、夢視!何を
しているんだい?こ
んな所で…』

突然の声に、僕は息
が止まる程に驚いた


声の方へ振り向けば
不自然な程の笑みを
浮かべている身なり
の良い青年が1人。


『…レイノルド殿下
?!どうして此処に
?』

腕の中の夢視様の呟
きに、夢視様の顔を
見れば、目を見開い
て真っ青な顔色で肩
を震わせている。


『たまには、昼間の
夢視の顔を見たいと
思ってね、体調を崩
してるって聞いたか
ら、見舞いを兼ねて
だよ。』

そう言いながら、僕
と夢視様に近付いて
来た。

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