《MUMEI》 . 廉は、ああ??と凄んできたが、わたしは引かなかった。彼を真正面から睨み据えて、続ける。 「あんたが教えてくれたんじゃん??あれだけヒトのことバカにしたんだもん。殴られて当然よね!」 アハハ、と廉のマネをして高笑いをした。 廉は怒りに震え出し、赤くなった頬を手で押さえ、叫んだ。 「こんなことして、タダで済むと思うなよッ!?俺を誰だと思ってるッ!!俺は『LE FOU』の…」 脅すような口調で、そこまで言ったのを、わたしは、 「そんなの知るか」 と、ばっさり遮る。 廉は、目を大きく見開いた。その瞳を見つめ返しながら、わたしは勝ち誇ったようにほほ笑む。 「お生憎さま!芸能人だろうがアイドルだろうが、そんなのわたしには興味ないし、関係ないもの」 続けざまに言いながら、ボタンを留め終わると、わたしは床に落ちていた自分のバッグを拾いあげ、肩にかける。 . 前へ |次へ |
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