《MUMEI》 . 彼はわたしの台詞に、本当に驚いたようで、絶句していた。信じられないといった顔つきだった。 ズカズカと廉の脇を摺り抜けて、ゴミ箱へ行き、中から晃のクッキーを拾う。これをアイツに食わせるなんて勿体ない。 バッグにクッキーの袋を詰め込み、そのまま教室のドアのまえまで行って立ち止まると、肩越しに振り返った。 廉は呆然としたまま、あらぬ方を見つめていた。 そんな彼に、 わたしは小さく呟く。 「あんたのその自慢の立場は、『テキトーな一般人』に支えられてること、忘れんじゃないよ!」 そう言い残して、わたしは教室から出ると、乱暴にドアを閉めた。 ****** 前へ |次へ |
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