《MUMEI》

わたしは私服に着替えて、部屋を飛び出した。

「アレ? ルナ、どこ行くの? もう日付け変わるわよ?」

同居している親戚のルカが、声をかけてきた。

「ちょっと出かけて来るわ! すぐ戻るから!」

「えっええ。気を付けてね」

マンションを飛び出し、自転車に乗って彼女の家まで行った。

自転車で20分の所に、彼女の家がある。

一戸建ての家の前で、彼女がうずくまっていた。

「ルナちゃん…」

「ちょっ、大丈夫?」

彼女に駆け寄ると、随分衰弱しているようだった。

…元々気の優しいコで、イジメなんて出来るコじゃなかった。

なのにムリをして…。

「…とりあえず、部屋に上げてくれる?」

彼女はうなずき、扉を開けてくれた。

両親はリビングにいるとのことなので、バレないように静かにゆっくりと階段を上り、彼女の部屋へ行った。

彼女はベッドに座り、わたしは彼女の真向かいに腰を下ろした。

「あの、ね…」

「うっうん」

「ルナちゃん…。にぶいから気付いていなかったかもしれないけど」

ぐさっ★

…言葉が胸に突き刺さった。

「委員長、ね。今、みんなに命令しているの」

「わたしをイジメるように?」

「…うん」

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