《MUMEI》 昔の男. −−−家に帰って、 居間でのんびりくつろぎながら、わたしは晃のクッキーを片手に、ぼんやりテレビを眺めていた。 画面の中では、今流行りのお笑い芸人が微妙なコントをしている。 時折、沸き上がる観客の笑い声を聞いていると、妹の絵麻が、のろのろと居間へやって来た。 妹・【宇佐美 絵麻】は高校1年生。頭が良いので、わたしとは別の、進学校で有名な、私立の女子高へ通っている。 彼女はわたしと違って穏やかで明朗な性格で、友達もたくさんいるみたいだ。 絵麻はわたしを見るなり、意外そうな顔をした。 「お姉ちゃん、帰ってたの?」 尋ねられて、わたしは素直に頷く。対して絵麻は、まだ訝しげだ。小首を傾げて、さらに聞いてくる。 「めずらしくない?今日は、早いじゃん」 その言葉に、今度はわたしが首を傾げた。 「いつもと変わらないでしょ?」 ………むしろ、今日は居残りやら、清水君や廉とのイザコザで、帰ったのが遅いっつーのに。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |