《MUMEI》

「ななお……」

呼び掛けた後、俺の両頬を掌で潰して二郎の方向に向かされた。
唇が沈む柔らかい感触。

「……俺が我慢出来なかった。」

可愛らしい生き物め……。
その微笑みで頭がぼうっとさせられる。


「それ……今から人前でするの禁止にします。」

マロージャーの目が光った気がする。


「マロはハートが二畳しかないのか?俺は羨ましいけど。わかってないんだなあ、愛って形に表せないからたまに例えてみたくなるんだろ?例えばこれ。」

マロージャーにちゅーしようとしてきいさんは全力で拒まれていた。


「や、め、ろっ!」

格闘の後、二人は不思議と落ち着いて話し合えていた。

「メアド教えてよ……俺のはね〜、i-love-otoyaアットマーク……マロは?」

きいさんのメアドは分かりやすい。
初めて恋して浮かれ上がってるくらいに分かりやすい。


「i-need-tokiアットマーク……」

そこで、この兄弟の共通点をようやく見付けた。

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