《MUMEI》 血族の者達わたしはそのまま走り続けた。 そして駅前に来て、店と店との間の細い道を走った。 そこを抜けると、小物屋があった。 ばぁーんっ! 「うっ…わああぁあん!」 店へ飛び込むと、泣き出してしまった。 「いらっしゃ…って、ルナさん。どうしたんですか?」 「何だ、騒がしい」 店内には店主のソウマと、血族の次期当主のマカがいた。 マカは高校からすぐにここへ来たらしく、制服姿でお茶をしていた。 若い青年のソウマは、給仕をしていた。 …いつからここは小物屋から喫茶店に変わったんだろう? いや、それよりも! 「まっマカぁ!」 わたしはマカに跳び付いた。 「騒がしい上に、うっとおしいな。それでも420歳か」 「言うなぁ!」 人が歳を気にしていることを知っているクセに! 「…見た目小学生の女は不気味だ。でも泣いているお前も不気味だな」 「ダブルパンチはやめてよぉ! 失恋したばっかなんだからぁ!」 「「失恋?」」 ソウマとマカの声が重なった。 「あっあの一族の人を好きになっちゃって…。でもバレちゃって!」 「…最初から言え」 ―その後。 ソウマに紅茶を淹れてもらい、飲んで落ち着いた。 そして二人にアオイのことを説明した。 「…はあ。相変わらずあの一族は、支配力が強いな」 「そうですねぇ。我が血族まで従わせようという気は、正気ではまずないですしね」 「そっちに注目しないでよ!」 前へ |次へ |
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