《MUMEI》

「一人で何してるの? 学校サボって。危ないヤツがいるんだから、気をつけなきゃ」

泣き出しそうなのを堪えて、あえて明るく振る舞った。

「…ルナ、どこへ行くの?」

「実家に戻るわ。その方が、お互いの為でしょう?」

アオイの眼が見開かれた。

アレからそんなに経っていないのに、アオイはやつれたように見えた。

そこまで心に傷を負わせてしまったか…。

「じゃ、わたし行くわね。もう二度と会うこともないでしょうけど、元気で!」

最後に笑みを浮かべて見せた。

そのまま振り返って、歩き出すと…。

「待って! ルナ!」


後ろから抱き締められた。

「アッオイ…?」

「…行かないで! 僕の側にいて!」

静かに、でも熱い声。

「でも…あなたは一族の者だし、わたしは血族の幹部だし…」

ロミジュリじゃないけど、結ばれてはいけない相手だ。

「それなら…逃げよう! 二人で!」

「ええっ!?」

アオイはわたしの肩を掴んで、正面を向かせた。

「キミがいない日々を過ごして、気付いた。僕はもうっ…ルナがいないと、ダメだ!」

「アオイ…」

「好き、なんだ…。愛してる、ルナ」

ぎゅうっと抱き締められて、思わず眼が眩む。

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