《MUMEI》
発作
なんだ…コレ‥
身体が、熱い…っ!!
焼けそうだ‥
「うわぁぁぁ!!」
リョウは冷たいコンクリート上をのたうち始めた。
「リョウ!リョウ!!」
余りの苦しみ方に加奈子は焦る。
しかし何もしてあげる事は出来ない。
‥ならばと有馬の腕を引っ掴み、どうにかしてとせがんだ。
人選が間違っている事くらい重々分かっている。
しかし他に助けられる人間はこの有馬ただ一人なのだ。
「思ったより早く発作が始まったな‥。修二、連れて来い!」
しかし有馬はそれを無視するかの様に、悠長な声で修二の方を振り返るだけだ。
有馬に命令された修二は“はいっ!”と元気よく返事をして部屋を出て行った。
「ねぇ!何とかしてよ!!このままじゃリョウが‥」
やっぱり人選間違った…
有馬ののんびりした空気を感じて加奈子は今更後悔の渦にのまれていく。
有馬を掴んでいた加奈子の手から力が抜けていく。
そこで漸く有馬は加奈子に向き直り、優しい声で…
まるで小さな子を宥めるように言った。
「安心しなさい。直ぐに発作は治まるよ。」
その声に安堵を感じつつ、しかし笑顔を見せる有馬に妙な不安を感じた。
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