《MUMEI》
テレビの話題
.

そこから少し離れた自分の席で、

わたしはぼんやり、その話に耳を傾けていた。


「てか、北條君、今日休みでザンネ〜ン!!」


「ねー!いろいろ話したかったのにィ!!」


「どうしたんだろ…お仕事?」


「てか、スタジオ見学してみたぁいッ!お願いしたらOKしてくれるかなぁ??」


「今度、頼んでみる??」


「ヤバイ!ちょーアガるぅ〜!!」


ひと通り聞いていて、うんざりした。



………頼んでも、ムリムリ。

アイツのことだから、あくまでも感じ良ーく、テキトーにあしらって、

陰で『ふざけんじゃねー、庶民!』て、毒づかれるのがオチだって。



わたしは窓の方へ視線を流した。

眩しいくらいの青空が、どこまでも広かっている。



………平和だ。

昨日のことが、ウソみたい。



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