《MUMEI》 遅刻の理由. 不意に晃は教室の中を見回して、そういえば…と、ぽつんと呟く。 「由紀、来てないね」 休みかな?と首を傾げている。晃に言われて、そこで初めて、わたしは由紀がまだ学校に来ていなかったことに気づいた。 どうりで静かだったわけだ、とひとりごちる。 「どうしたのかな?具合、悪いとか?」 なにか聞いてる?と尋ねた晃はやっぱり不安そうで、 でも、わたしは首を横に振る。 「知らない。なにも連絡ないし」 わたしの答えに、晃は、そっか…と、肩を落とす。 わたしは由紀の席へ視線を流した。 からっぽの彼の席は、どこか寂しげで、 少し、悲しい感じがした。 ………マジで、どうしたんだろ? ぼんやりと考えていると、 「おっはよ〜☆」 聞き慣れた呑気な声が響いて、わたしと晃は弾かれたように顔をあげる。 −−−そこに、 にこやかな笑顔を浮かべた、由紀がいた。 . 前へ |次へ |
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