《MUMEI》

思い返すこと1年も前の話です。

教室で本を読んでいた時のこと。

彼女が友人達と大きな声で、ケータイのことで盛り上がっていました。

そして昔流行った不幸の手紙、そのケータイのメールバージョンがあるらしいと話していました。

何気無しに私は自分のケータイを開き、実際検索してみると、確かに都市伝説的なものとして、あるらしいことを知りました。

そしてつい好奇心から、あのメールを作り、同じクラスの女の子に送ったのです。

最初は受け取った女の子は、笑っていました。

そしてふざけて、女友達に送っていました。

そのコも同じクラスでして、彼女も笑って送っていました。

…まあその頃は、笑い飛ばせるものだったんです。

それが変わったのは、メールが出回って三ヶ月ぐらい経った頃でした。

メールを受け取った男子学生の家が、火事で全焼したのです。

その頃から、メールには不吉が付くようになりました。

しかしその出来事は全くの偶然。

メールには何の力も無いハズでした。

でも次から次へとメールは暴走を始め、やがて私の手を離れて、呪いのチェーンメールと化してしまいました。

…だけど、今回の彼女の死は、少しいつもと変わっています。

どこが、と言うのは、彼女がメールを受け取った途端、周囲の態度が豹変したところです。

…そうです。彼女の身の周りで起こったこと全ては、周囲の人間が関係していたのです。

彼女を駅の階段から突き落としたのも、実家を倒産まで追い詰めたのも、イジメを始めたのも、男性達に暴力を振るわれたのも、全ては周囲の学生達の仕業でした。

………彼女はそこまで、嫌われていたのです。

そして周囲の学生達も、彼女がメールを受け取ったことを機に、暴走してしまったのです。

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