《MUMEI》

だから彼女はとっとと私にメールを送ればよかったのです。

ここまで暴走してしまいましたが、私ならばチェーンメールを消去できます。

何故なら私は…。

…いえ、ここではまず、彼女のケータイからチェーンメールを自分のケータイに送ることにしましょう。

……よし、メールはちゃんと私の所に来ました。

しかしコレは…ヒドイです。

偶然とは言え、起こった不幸な出来事に、溜まりに溜まった人間の負の感情が、メール自身に宿ってしまっています。

まさかここまでとは…!

コレでは本当に、このメールを受け取った人間は必ず不幸になってしまいます。

私はしばらく考えた後、頭の中に浮かんだ一人の人物に、メールを送ることにしました。

何の説明文も付けませんでしたけど、彼女なら何も言わずに消去してくれるハズです。

私はメールを送った後、思わず手を合わせました。

「ゴメンなさい、マカ」

メールの着信音を聞いて、マカはケータイを開いた。

そしてメールを見て、思いっきり顔をしかめ、ケータイを握る手に『気』を込めた。

バチンッ!

ケータイは一瞬火花を散らし、真っ黒な画面になった。

しかしすぐにいつもの待ち受け画面に戻る。

「どうしたの? マカ」

「変なメールが届いたから、消去したところ」

ミナに向かって、満面の笑顔を浮かばせるマカ。

しかし目は笑っていない。

「そう。あっ、でも気をつけてね。最近、怖いチェーンメールが送られてくるそうだから」

「ふぅん…。まっ、もう大丈夫でしょ」

軽く肩を竦めたマカは、ケータイを閉じた。

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