《MUMEI》

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女の子は由紀の姿を見つけると、肩を怒らせズカズカとこちらへ近づいて来る。



………なになに??

なんかコワイ顔してるんですけど。



『鬼の形相』とは、まさにこのこと。

あっという間に、彼女はわたしたちのまえまでやって来た。

由紀は余裕のほほ笑みを向けて、久しぶり、とのんびり言う。


「カナちゃん、どした??怖いカオして〜」


その台詞を聞いた彼女は、眉を吊り上げて、いきなり由紀の腕をガシッと掴み、


「『どした??』じゃないわッ!!」


切迫詰まった顔で、大声を出す。

わたしはその気迫に怯み、一歩後ずさる。
クラスのみんなも、突然のことにビックリしたようで沈黙していた。


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