《MUMEI》 イライラ. ひたすら走って、昇降口までやって来ると、由紀は息を切らせて、後ろを振り返った。わたしも肩で息をしながら、由紀と同じように背後へ視線を向ける。 カナちゃんが追いかけてくるような気配はない。 ホッと、由紀はため息をつく。 「いやー、助かったぁ!カナちゃん、しつこくてさぁ」 まいった、まいった!!と全く悪びれず、笑う。 わたしが由紀の顔を見上げると、彼は肩をすくめてみせて、 勝手に、カナちゃんの話を始めた。 「ちょっとまえに、『セフレにして欲しい』って言われて〜。ヤってみたら、感度もそこそこ良くて、俺も楽しめたんだけどさぁ…なんつーの?独占欲??強すぎでさぁ。彼女ヅラされちゃうんだよねぇ」 付き合ってないっつーのにさぁ…と、深いため息をつく。 わたしは黙り込み、由紀の顔をまっすぐ見つめて、瞬いた。 . 前へ |次へ |
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